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新世界 西野亮廣(著)
- 2019年4月8日
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今回は、西野亮廣著「新世界」についてご紹介します。
士業として仕事をするということに対しては、この本はあまり役に立たないかもしれません。ただ、彼の世界観の作り方は非常に参考になるところで、オンラインサロンや私塾などを作りたいと考えている方は、この本から学べることは多いと思います。
「新世界」はオンラインサロンの集客のために書かれているような印象もありますが、この本を手に、どうやって世界観を彼が作ってきたのかについて分析を進めます。彼は芸能人なので我々が真似するのは難しいところもありますが、参考になるところも多々あると思います。
西野亮廣とは
西野亮廣さんという人は、お笑いコンビ「キングコング」で売り出し、20代という非常に早い段階で成功しました。吉本の在学中にコンテストで賞を取り、20代でゴールデンタイムのレギュラー番組を持った。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いといっていいでしょう。
こうしてキングコングとして世に出て売れた西野さんですが、この頃からオンリーワンで生き残っていく道を模索し始めたと後で語っています。
「新世界」の中では「はねるのトびらで売れたけれど、敷かれたレールの上を歩いているだけでは目標としている先輩を追い抜くことができなかった」と語っています。
成功が、自分の思い描いた成功とはほど遠かった。
テレビの仕事に依存し続けるのは辛い。
この経験から、本当に自分がしたいことをするために、お笑い芸人とは違う収入源を持とうと思い始めたそうです。
アンチという仮想敵の多さが成功に比例した
彼がここまでブレイクする大きな要因となったのは、アンチと呼ばれる仮想敵の存在が大きいと私は考えています。
20代の頃に「ひな壇に出ない」と宣言したエピソードはとても有名ですが、お笑いに対しても尖った発言を重ね、アンチはどんどん増えていきました。
人気が落ち着いて「西野は終わった」と言われることもあった中、絵本を作ってヒット。
これが有名な「えんとつ町のプペル」で、発行部数は30万部を超えています。
こうして結果を出し始めたことによって、それまで西野さんを嫌っていたアンチが手のひらを返し始めました。敵が多かった分、当然味方も多くなります。
もしもキングコングが売れた20代の頃に絵本が売れていたら、おそらくこんな現象にはなっていないでしょう。
アンチは実はすごく重要な登場人物です。どんな作品や人物でもそうですが、人気があるものほど強烈なアンチがいます。賛否両論が出ることでその作品に深みが増し、「実際はどうなんだろう」と興味を持つ人が出てくる。そして売れていきます。
西野さんを分析していると分かりますが、西野さんが身を削っていろいろな企画を実行するとき、アンチはすぐに反応します。
渋谷ハロウィーン翌日にゴミ拾いを企画したところ、アンチが先に全てのゴミを拾い終えていたというエピソードもありました。
もちろん支持している人もいますから、西野さんのすることは大きく話題になります。
自分の「見せ方」に一貫性がある
芸人と呼ばれる人が書いた本にはエッセイ的なものが多くて、自己啓発書、ビジネス書を出す人はいません。
もしビジネス書や自己啓発書を出してそれがヒットしたとしても、芸人のプライドが「ビジネス書で成功した」とは言わせないでしょう。
ですが西野さんは「俺はビジネス書で成功した」と明言しています。
個人的な感想ですが、全体的に彼を見ていて思うことが、矛盾はあるものの筋は通っていて、何より見せ方が上手いということ。
オンラインサロンには既に会員が2万人以上いるので、会費が月に1,000円だとしてもかなりの収益が上がっているはずです。ですが、彼は一貫して「お金に興味がない」「お金を持っていない」というスタンスを貫いています。
30歳になる前に家を購入しているし車も持っていたというエピソードから考えて、お金に興味がないわけはないと思いますが、服はユニクロ、貯金はない、サロンの売り上げを突っ込んで美術館を建てる土地を買ったなどのエピソードを上手く出すことで、「お金に興味がなく、実際に持っていない」というイメージを上手く出しています。
この見せ方の一貫性は非常に参考になると思います。
今回は西野亮廣さんの「新世界」をご紹介しました。
西野さんの本には「魔法のコンパス」「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」、堀江貴文さんと書かれている「バカとつき合うな」などたくさんの本がありますが、新しい本ほど内容は当然ブラッシュアップされているので、忙しい方は最新刊の「新世界」だけでも十分でしょう。
会員制ビジネスや、今流行りのオンラインサロン、私塾など、人を集めて何かビジネスを展開したいと思っている方は、彼の世界観の作り方について知っていただけると学びが深まると思います。