司法書士への期待が年々大きくなっている成年後見制度
- 2017年5月12日
- 司法書士への期待が年々大きくなっている成年後見制度 はコメントを受け付けていません
司法書士業務のなかで重要性が高まってきているのが成年後見制度です。
成年後見制度は知的障害、精神障害、痴呆といった精神上の障害により判断能力が十分でない人が不利益を被らないように家庭裁判所に申立てをして、本人を援助してくれる人を付けてもらう制度です。司法書士と成年後見制度
ちょっと堅苦しい説明になってしまいましたが、一言でいえば、本人の代わりに重要な判断をする人を代理で立てるという制度となります。
たとえば、一人暮らしのお年寄りが悪質な訪問販売員に騙されて高額商品を買わされてしまったとします。近年、急増している典型的なタイプの詐欺ですが、成年後見人をつけていれば、お年寄りの判断は法的に無効、後見人が改めて判断することになります。
後見人が契約の解除をすれば、被害を防げるというわけです。ほかにも広く財産に関する法的行為を代行することが役割となります。
ちなみに、詐欺まがいの契約の場合には、大半のケースにおいて契約解除が無条件で可能です。親族や家族がお年寄りの代わりに申し立てをすることになりますが、ここでも司法書士の果たす役割は大きなものとなります。
後見人制度における司法書士の役割
司法書士は、成年後見制度への取り組みを積極的に行っています。司法書士を会員とする社団法人成年後見リーガルサポートの設立や日本司法書士連合会を主体とした成年後見制度の普及活動といったものが、その現れです。
そういった背景もあり、数多くの司法書士が成年後見人に就任しています。
少し古いデータになりますが、最高裁判所が集計した平成19年4月から平成20年3月までの成年後見等の申立てに関する統計での成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人選任事件)申立て件数は、合計で24,988件でした。
このなかで、後見人に就任しているのは、家族や配偶者等の親族が全体の約72%、残りの28%がそれ以外の第三者です。
特筆すべきはこの内訳で司法書士が10.5%、弁護士7.7%、社会福祉士5.3%、その他4.5%となっています。専門家のなかで、成年後見人として最も活躍している士業になっているというわけです。
ちなみに、この前年では後見人として就任している第三者の割合は約17%でした。1年で10%以上も増大したことになります。
これは親族が全くいない人や、仮に親族がいても何十年間も連絡がなく、殆ど関係がない親族しかいないという人が増えているためです。その大半が高齢者となりますが、数十年後には4人に一人が高齢者となる超高齢化社会を迎えて、法律や福祉の専門家が後見人に就任する必要性は、ますます高まってくるはずです。
成年後見人になるには、高い実力が必要
しかしながら、成年後見人になるのは、そう簡単なことではありません。法律のプロだからといって、すぐに就任出来るというわけではありません。
多種多様な専門知識と、その知識を使いこなす能力、プラス、判断能力がない人をサポートするという立場上、極めて高い倫理力が求められます。
実際、残念なことですが、成年後見人という立場を利用して、詐欺まがいの行為をして逮捕された専門家も存在します。もちろん、少数ではありますが、その気になれば出来てしまうわけです。
また、故意でなくても、判断ミスをすれば、本人に損害をもたらしてしまうことも十分にあり得ます。
こういったことが起きないように、成年後見リーガルサポートといった団体を設立して、研修活動や後見人に就任した司法書士の指導をしているわけです。
逆にいえば、高いハードルが求められるだけに、まだまだ数が足りず、働くには有望な分野ですし、やりがいのある仕事でもあります。
司法書士として活動するのであれば、成年後見人という役割は頭に入れておきましょう。
もう、資格だけでは食べていけない
○無料メルマガ「もう、資格だけでは食べていけない」のご案内
現在、経営天才塾では主宰の横須賀輝尚のメールマガジンを無料で配信しております。この機会にぜひご登録ください。
「もう、資格だけでは食べていけない」など累計20冊14万部を超える日本一の資格コンサルタント、士業向け経営スクール経営天才塾主宰横須賀輝尚の士業向け公式メルマガ。2007年から10年間、全国1600名以上の士業の相談に答え続けている。その回答数は2万件以上。本メルマガでは、天才塾で相談された事例を中心に、行政書士、社労士、税理士、司法書士、弁護士、弁理士等の士業・資格業の営業ノウハウをFAQの形を通じて週1回配信いたします。バックナンバーは非公開となりますので、お早めにご登録ください。